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餃子超人がすごす
渋谷区の一日

Vol.18 オガサワラガク
(餃子超人)

2025.01.17

本職は餃子。趣味は餃子。恋人は餃子……なんて餃子に対する想いが“好き”を超越し、「餃子超人」として活動しているのがオガサワラガクさんです。ユニクロでおなじみのファーストリテイリングに勤務した後、餃子愛好家に転身し、週8ペースで食べ続けた餃子はこれまで10万個超。餃子だけでなく、町中華を絶滅が危ぶまれる日本の食文化のひとつとして、町中華の食べ歩きや普及・啓蒙活動に勤しんでいます。
そんなオガサワラさん、じつは10年近くも渋谷区内で暮らし、経営するパーソナルジムも区内に構えているそう。町中華をこよなく愛する餃子超人の視点から、渋谷区での一日のすごしかたを教えてもらいました。

「おは餃子」して、
町中華食べて、餃子食べて

「朝起きて、家で『おは餃子』して、外でコーヒー飲んで、ジム行って、町中華食べて、コーヒー飲んで、銭湯入って、餃子食べて、酒場ハシゴして、麻雀遊ぶ感じですかね(笑)」
 渋谷区での一日について話すと、オガサワラガクさんは蓄えたヒゲの隙間から白い歯を見せました。『おは餃子』とは餃子を朝食にすること。食べ歩くうちに冷凍餃子を集めるようになり、いまでは専用の冷凍庫まで持っているのだそう。
「渋谷区で餃子なら『昇龍』がおいしいですよ。古き良き町中華で雰囲気が最高、チャーハンも最高。変化の激しい街で店を続けられるってだけでも、レベルが高い証。だから、渋谷区の町中華は総じておいしい店が多いように思います」

公園前のコーヒースタンドと
コミュニティ型のジム

「コーヒーなら『Little Nap COFFEE STAND』に行くことが多いですね。代々木公園のすぐそばにあり、目の前も小さな公園なので、ここも公園の一角のように感じられて心地いい。イートインもできますが、いつも外ですごしています。かしこまらず、開放的な気分になれるので、ジムのトレーナーの採用面接なんかも店前でよくやります(笑)」
 ジムとは、オガサワラさんが経営する「CLIFF GYM」のこと。近所のビルの地下2階に構えるパーソナルジムは定額通い放題制で、客層は20代から60代まで幅広いという。
「前職から独立した後、フィリピンのセブ島に語学留学をしました。そこで出会った仲間と3人で立ち上げ、トレーナーは彼らに任せ、僕はフロント担当ということになっています。餃子とは別に、人と人をつなぐような仕事もしたいと思っていたので、目指すのはコミュニティ型のジム。トレーナーとお客さんや、お客さん同士の距離が近いのが特徴で、BBQや運動会、スポーツ観戦などのイベントを開催しています。フィンランド発祥のモルックにみんなでハマり、世界大会に出るトレーナーもいるんですよ(笑)」

銭湯の清潔感に見る
おもてなしの気持ち

ジムでひと汗かいたら、町中華で胃袋を満たすか、銭湯で汗を洗い流すか。渋谷区のなかでも、代々木上原から幡ヶ谷にかけてのエリアによく出没するというオガサワラさんにとって、行きつけの銭湯が「仙石湯」です。
「清掃へのこだわりがすごい。隅々まで清掃が行き届いているので、気持ちよく浴槽に浸かれますし、その心遣いがうれしいですよね。番台に立つ女将さんがすごく上品な方で、ファンになっちゃいました。お客さんによろこんでもらいたいという気持ちの表れといいますか。銭湯も町中華も、単に昭和情緒が好きだからというのではなく、細部まで心が込められているから、こうも惹かれるんでしょうね」

厨房の前腕に見る
町中華の実力

 渋谷区で餃子なら、もう一軒食べ逃せないのが「白龍」です。まず安心感を覚えるのが、白抜きの文字で書かれた赤い看板、やや高い位置のテレビなど、町中華らしい佇まい。餃子とカニチャーハン、さらにチンジャオロースを注文し、ビールをあおるのがいつもの“腹パン”コースだそう。
「餃子が冷めるのを待つ『待ち食い』スタイルのほうが、ひと口で食べられるので肉汁を逃しません。3分ほど待ったところで、餃子本来の味が食べられるよう、なにもつけずパクッと……うん、ウマい。毎月食べていますが、ここは焼きの安定感がお見事。厨房を見てくださいよ。たまに垣間見える店主の前腕の太さが、質の高さを物語っていますから」
 町中華は、東京の東側により多く残されているといわれます。東側に住んだほうが餃子を食べるにはいいのでは……と思いきや、渋谷区で長く暮らすのにも理由がありました。
「昔、『感度の高い街で暮らしたほうがいいよ』と教わったのが心に残っているんです。ジムのお客さんとの交流もそうですし、活動をおもしろがってもらえるのもそう。餃子の最新情報も得やすいですし。じつはもう一軒、『麻雀野郎』という雀荘の餃子もおすすめなので、これから行きましょう!」

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Profile

オガサワラ ガクGaku Ogasawara
1987年生まれ。東京都出身。餃子超人。餃子を愛するあまり、10年間勤めたファーストリテイリングを退職し、餃子愛好家として独立。餃子の食べ歩きをInstagram (@kebab)やWebサイト「今夜も餃子とブギーバック」で紹介するほか、メディア出演やポップアップ、餃子専用ビールの開発など幅広く活動。長らく渋谷区内で暮らし、コミュニティ型のパーソナルジム「CLIFF GYM」を代々木公園と代々木上原で営む。 https://gyoza.info