all streets shibuya
A local guide made by walking
幡ヶ谷から渋谷まで
BEER TREKでハシゴ酒
Vol.05 ハミルトン・シールズ
（ミッケラー ジャパン代表）
2022.09.15
ミッケラーといえば、クラフトビールのパイオニアとして世界的に名高いファントムブルワリーです。2006年にデンマークのコペンハーゲンで創業して以来、特定の醸造所を持たないユニークなスタイルでクラフトビールのムーブメントを牽引。日本でも2015年に渋谷区の宇田川町に1号店をオープンし、百軒店に移転、ホテル「all day place」1階にも展開するなど、幅広い人気を集めています。そのミッケラー ジャパン代表のハミルトン・シールズさんに、今回は渋谷区でできるハシゴ酒を教えてもらいました。10年来の渋谷通であるハミルトンさんのローカルガイド、それはいわば「BEER TREK」です！
豪快サンドイッチと
ミッケラーのコラボビール。
「これまで何回食べたか？ 毎月のように来ているから、何十回か数えきれないよ。友だちを何人も案内しているくらい、幡ヶ谷から渋谷まではハシゴ酒に最高なコースだね」
ハミルトン・シールズさんはそう言いながら、幡ヶ谷の「フリーマン食堂」のサンドイッチを豪快にかぶりつきました。そしてグラスに並々と注ぎ、喉を潤すのは「アプレ ケルシュ」。肉料理との相性が抜群な、ミッケラーとのコラボビールです。
「ビールはシーンでおいしさが変わるからおもしろいよね。パストラミサンドならこれがいいけど、寿司ならまた違うし、神宮球場で東京ヤクルトスワローズの試合を観ながらだったらよく冷えたキリンビールのほうがいい。そういうビール文化そのものが私は好きかな」
パン、コーヒー、お酒と続く
代々木八幡散歩。
ハミルトンさんはフリーマン食堂のサンドイッチを「日本でいちばんおいしいパストラミサンド」と形容しました。同じように、本場でも食べられないと絶賛したのが、代々木八幡に構える「イエンセン」でした。
「イエンセンはデンマークのディープなペストリーだね。クラシックな味が受け継がれていて、私はここのティビアキスが大好き。バターペーストを含み、ケシの実をのせた、朝食向けのパン。日本でいう昭和の味のようなもので、デンマークでもいまでは食べられないほど美味しい！」
ハシゴ酒の移動中、イエンセンで小腹を満たしたら、すぐ近くの「SWITCH COFFEE TOKYO」で小休止ができます。
「ビールとコーヒーの両方を出すお店も増えているけど、私はコーヒーも好きだから、SWITCHのようにおいしい専門店があるのはうれしい。代々木八幡まで来たら、『Sakeria Sakebozu』もおすすめ。日本酒、ワイン、クラフトビールが揃っていて、料理のスパイス使いにもオリジナリティがあるからね」
百軒店とミッケラーの
密なる関係。
幡ヶ谷も代々木八幡も、いまでは話題店が集う人気のエリアになりました。しかし、2018年に「ミッケラー トウキョウ」が移転オープンを果たしたのは道玄坂近くの百軒店。夜の街で知られるエリアへの驚きの進出でした。
「百軒店はディープな印象があるかもしれないけど、すごく楽しいエリアだよ。ミッケラーをハブにして、百軒店でハシゴ酒をするのも最高。新しいお店と古いお店が共存していて、これからもっとおもしろくなると思う。エリアを盛り上げていきたいから、商店街の理事会にも入っているよ」
この取材の後には、理事会による清掃に参加する予定だとハミルトンさんは言います。千代田稲荷神社のおみくじでは見事に大吉を引き、拳を空に突き上げていました。
だれもが朝まで楽しめる
渋谷のハシゴ酒。
「夜の街のど真ん中に神社があるなんてめずらしいでしょ？ だから昔、当時の彼女を連れていってみたら、すごく怒られた（笑）。『なんでこんな怪しい場所に行くの!?』とケンカになったんだけど、その十数年後にはその向かいにお店を出しているんだから、人生はおもしろいね」
そう笑うハミルトンさんが初めて渋谷に来たのは2009年に遡ります。渋谷と代々木上原や笹塚を結ぶハチ公バスを使いこなし、開発を免れたガード下トンネルに「もののあわれ」を感じるほどの、れっきとした渋谷通。ハシゴ酒の最終目的もまた、渋谷で遊び慣れてきた経験が活かされているようでした。
「『ミッケラー キオスク/バー』は、自由な使い方ができるお店かな。クラフトビール初心者からギークまで、国内外20種類のビールが味わえる。昼にビールを飲みながら読書する人がいれば、夜には楽しく騒ぐパーティーピープルもいる。おいしいビールを飲んで気持ちよくなって、もう帰りたくないなんて思ってもらえたら最高だね。上の階には『all day place』というすてきなホテルがあるんだから（笑）」